アヤの告白に動揺します。
 《恋のABC》というモノがある。

 これは、友人知人間において互いの恋愛経験を話題とする場合に
 接吻を『A』、前戯を『B』、挿にゅ――を『C』と変換する隠語表現である。
 この《ABC》は飽くまで恋愛関係にある二者間での進行段階を示しており、
 恋人同士になることでようやく第一段階である『A』の接吻が認められ
 スタートラインに立つことが出来るのだと暗示しているようでもあった。

 しかし時に乱れがちな恋愛感情というものは
 この律儀な順序に沿うことなく、発生する場合も否めない。

 『A』によって生まれる恋心も在り得るのである……。



アヤ「ミチ、あの時は私を庇ってくれてありがとう。正直、キスは驚いたけど……
 あれ以来、あなたの顔を見ると胸がドキドキしちゃって、好きになったみたいなの」

 

ミチ「えっ……」

 日頃から『女の子が女の子を好きになる気持ちが分からない』と公言し、
 時に嫌悪感すら漂わせる学園一のカリスマ的美少女・アヤの突然の告白に
 他の女生徒たちと同じく、彼女に密かな恋心を抱くミチは一瞬言葉を失った。

 心の中で力一杯のガッツポーズと雄叫びを発し
 その勢いのままに2度目のキスを……と急く感情を、
 目の前のアヤに気取られないようにと精一杯自制して
 ミチは苦笑いを湛えながらこれに応じる。そうだ、今日は……

ミチ「はいはい、今日はエイプリルフールでしょ。そう簡単には騙されないよ」

 

アヤ「えへへ……やっぱりミチには通用しないっかあ」

 流石に双子姉妹だけあり、マヤと寸分違わぬアヤの屈託のない笑顔を
 『良かった、うっかり本気にしてガッツいちゃったら嫌われる所だった……!』
 と、突然の誘惑に打ち勝った己の理性に安堵しながら、眺めるのであった。

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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

【 2018/04/01 01:26 】

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