悪用禁止~他人の行動を操作するだけではなく他人の生死も操作したいと思う。
 それはある晩の草木も眠る丑三つ時――。
 微かな物音にふと目を覚ました澪は、部屋の片隅に灯る小さな灯りと
 そこに向かって何やら小声の鼻歌交じりに作業をしている姉の後ろ姿を見つける。

「叔父さんスイッチのつくり方~♪
 あきばこにボタンを5つかきまして、ひらがなを5ついれたなら、
 まがるストローをアンテナにして、叔父さんスイッチのできあがり♪」


(お姉ちゃん、こんな夜中にコソコソ隠れて何を作ってるのかな)
 
 小さな灯りに照らされて真っ暗闇の中に浮かび上がる姉の微笑に若干の恐怖を憶えながらも、
 それ以上の好奇心に突き動かされて澪は恐る恐るその後ろ姿へ近付き……そして、見つけた。

あ! コレってあのお父さんスイッチだよね!」
 
 姉の手元にあった物を見つけるや、思わず歓喜の声を挙げてしまう澪。
 某公共放送の番組【ピタゴ●スイッチ】内の1つのコーナーに登場する《お父さんスイッチ》
 5つのボタンそれぞれに設定された5つの行動を、子が父(祖父も可)に指令するというもの。
 その制作方法は番組内でも歌に乗せて紹介されてはいたが、流石に実行に移すほどの行動力は無く、
 だからこそ《お父さんスイッチ》を姉が実際に制作しているという事実を知り、澪の眠気は吹き飛んだ。

「ビックリしたあ……。後ろからいきなり大声出さないでよ、澪」
「ごめんごめん。――で、コレってやっぱりお父さんスイッチだよね」
「残念。これは叔父さんスイッチよ」

 《叔父さんスイッチ》――予想と僅かに反れたその名を聞いた澪は目を白黒させて装置を見やり、
 その所為で小さな灯りに照らし出された繭の……宵闇より暗く深い笑みを見逃してしまうのだった。
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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

【 2014/06/01 11:12 】

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