狭間の隙間~人は先ず己を限界を知るべきである。
 戦いの中に身を置く者が、
 終ぞ辿り着く真の敵は己自身である――。
 世の理はそう語る。



 今は亡き婚約者の背を追い、都市伝説《眠りの家》の真実に迫る黒澤怜。
 遂に久世家……狭間の屋敷の深奥に辿り着いた怜は、
 幻想的な光景の中に佇む異質な石扉の前で足を止めていた。

「この扉の先に、刺青の巫女が……」



 僅かに開いた石扉から流れ出てくる瘴気が素肌に突き刺さる。
 幾つもの死線を乗り越え強くなったはずのその身が震えているのは、
 携えた射影機が今までにないほどの反応を示している所為か、はたまた
 真実に迫るその寸前に犠牲となってしまった天倉螢の夢を通して視た
 この石扉の先に広がる異様な光景を思い出して、恐怖している所為か。

 この先に居るのは、災厄の元凶である刺青の巫女。
 この先に待っているのは希望か、それとも絶望か。

 出来ることならば、今すぐにでもこの場から逃げ去りたい。
 そして全てを忘れ、かつてのような穏やかな日常を取り戻したい。
 ――しかし、引き返したところで待っているのは、
 愛する人を失った懺悔と深紅を失った後悔の日々のみだ。



 怜は遂にその扉を潜る――。
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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

【 2013/08/01 15:54 】

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