待ち人来たらず。呼んでも来たらず。
 シンシンと降りしきる雪。
 見上げる首が痛みを感じるほどに大きく、歪な《眠りの家》。
 いつもならば鎮女たちの精勤的に杭を打つ音と
 《鎮メ唄》が響き渡る屋敷だが、今日は違っていた。

 鬼はーソト。福はーウチ。

 ああ、そういえば今日は節分だったな――と螢は思い出す。
 杭を打つ音と《鎮メ唄》に代わって聞こえてくるのは節分のあの口上。
 現代社会……特に外来文化には疎い屋敷の者たちも
 流石に古代日本から続く伝統行事には精通しているらしかった。

 鬼はーソト。福はーウチ。

 鬼はーソト。福はーウチ。

 ヘタレはーソト。お菓子はーウチ。

 ヘタレはーソト。雨音もーソト。

「…………」

 今夜はこのまま静かに帰ろう。
 玄関を押し開けようとしていた手を引き、螢は踵を返す。

 その背をこれでもかと強く強く押したのは、
 聞き覚えのある――しかし決して親しみの持てない黄色い歓声だった。

 秋人様はーウチ❤秋人様はーウチ❤ 



今日は節分本番です。

豆、撒いていますか。
巻き寿司、齧り付いていますか。



私月華はいつも通り仕事が忙しく掃除も面倒臭いので豆、撒きません。

あ。そういえば
正月の鏡餅がまだテレビの前に置かれたままです。

スポンサーサイト

テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

【 2011/02/03 14:25 】

| ヌルい短編 | コメント(0) | トラックバック(0) |
| ホーム | 次ページ